文教協会が毎年刊行している大学のディレクトリ『全国大学一覧』には、各大学の図書館名が掲載されている。
今から約25年前の昭和56年版では,国立大学の図書館名は全て「附属図書館」であり,私立大学も「附属図書館」か「図書館」がほとんどで,慶應義塾大学の「研究・教育情報センター」と金沢工業大学の「ライブラリーセンター」が特異だった。
国立大学は国立大学法人となって,図書館の名にも変化が出てきた。平成19年度版では,「情報メディアセンター」(岩手大学),「総合情報メディアセンター」(群馬大学),「学術情報研究センター」(奈良教育大学)といった例があり,87大学のうち,5大学は単に「図書館」としている。「附属」という言葉によほど抵抗があったのだろう。
公立大学63大学のうち,「附属図書館」,「図書館」以外は19大学で,「図書情報センター」(首都大学東京,滋賀県立大学,長崎県立大学),をはじめ,「図書館・情報センター」(都留文科大学),「図書・情報センター」(石川県立大学),「附属総合情報センター」(札幌医科大学),「附属学術情報センター」(福島県立医科大学),「学術情報総合センター」(大阪市立大学),「学術情報センター」(大阪府立大学),「学術情報センター」(県立広島大学)がある。
私立大学488館のうち図書館がつかないのは53館であり,「情報センター」を含んでいる名称は25大学,「メディアセンター等は17大学,「図書情報」を含んでいる名称を持つのは6大学,その他は(ライブラリーセンターなど)は5大学である。
全体として,図書館の名称に多様化が進んでいるように見える。図書館の制度は,輸入されたものであり,福澤諭吉は,「西洋諸国の都府には文庫あり『ビブリオテーキ』と言ふ」(西洋事情(1866))と紹介した。明治時代には「書籍館」などの名称があったものの,以後,「図書館」が定着した。
「図書館」を使うのをやめた大学は,「メディアの多様化」,「これからは情報」などということを考えた結果なのかもしれないが,「図書館」という名を嫌う教員がいたのが直接の原因であることが多い。
『ニューズウィーク』誌の2007年の世界の大学ランキングの上位20大学を調べてみたが,図書館は全て「library」であり,「information center」はないし,ましてや「media center」はない。米国では「media center」は,初等中等教育機関の図書館のことである。
文部科学省は,最近,「学術情報基盤」という言葉を好んでいる。『大学図書館実態調査』という統計を『学術情報基盤実態調査』と名称変更した。その意をいち早く汲んで図書館を「学術情報基盤センター」とする国立大学法人が現れそうな気配である。いかにも政策用語のにおいが強くて,十年も保たないような気がするが・・。
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