北澤京子『患者のための医療情報収集ガイド』(ちくま新書,2009,210p.)は,これまでの医療情報ガイドブックとは一線を画す,全く新しい観点に立っている。
全体は7章構成であるが,具体的な情報源の紹介は第2章だけで20ページほどである。これまでのガイドなら,大部分が,情報源の紹介となることだろう。図書館員なら本やウェブサイトを中心として,患者図書館などに拡がるだろうし,患者が書くなら,闘病記や患者団体の紹介があるだろうと予想される。
医療の場合,患者が医学論文を読むことをどのように考えるかという問題がある。しかし,この本の著者は何のためらいもなく,その壁を超えてしまう。患者が,医学論文を探し,読むことは当然のことなのである。それよりも,そうした医学論文をどう評価するかのほうが問題なのである。そこで,「根拠に基づく医療」の説明が始まる。
医学にはパブメド(PubMed)という,巨大だが使いやすい本文の入手も容易な進化したデータベースがある。これは,誰でも使うことができる。患者も使うのが当然である。
著者は,日経BP社の『日経メディカル』編集委員であるが,最近,ロンドン大学大学院で公衆衛生学を専攻し修士号を得ている。
自分に合った治療法を自分で見つけるために徹底的に情報収集するという人々は,今は僅かかもしれないが,これから徐々に増えていくに違いない。そうした患者のための本である。
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